【寝屋川市】八木家住宅 登録有形文化財に登録へ ~1930年竣工の建築家・藤井厚二 設計住宅 ~
令和5年3月17日の文化審議会文化財分科会の答申を受け、寝屋川市の住宅街に所在する八木家住宅主屋・下男部屋・蔵・門及び塀が、文化庁の定める登録有形文化財(建造物)に登録されます。
八木家住宅(通称:八木邸)は、建築家・藤井厚二氏が設計し、1930 年(昭和5年)に竣工した木造瓦葺2階建ての建物で、大阪で綿花・綿糸・絹織物業などを商売としていた八木市造氏が家族のために建てた住宅です。
主屋は、和風の要素を幾何学的な構成や椅子式の生活様式に合わせて再構成した意匠が特徴的で、 通気筒により空気の循環に配慮するなど、日本の気候風土と日本人の感性に適合する住まいへの様々な工夫がみられます。
寝屋川市内の登録有形文化財は、聖母女学院校舎、平池家住宅 主屋・長屋門に 続き、3件目の登録となります。
登録有形文化財への登録内容
・ 名 称:八木家住宅
・主屋
・下男部屋
・蔵
・門及び塀
・ 文化財種類:登録有形文化財(建造物)
・ 種 別:住宅 建築物
・ 建築年代
主 屋(おもや)
昭和5年(1930年)/昭和34 年(1959年)頃
・昭和58 年 (1983 年)
・令和4年(2022 年)改修
下男部屋
昭和5年(1930 年)/昭和 16 年(1941 年)
・平成8年(1996年)改修
蔵
昭和5年(1930 年)/昭和 16 年(1941 年)改修
門及び塀
昭和5年(1930 年)/平成 28 年(2016 年)改修
・ 登録基準
主 屋
基準(二)造形の規範となっているもの
下男部屋・蔵・門及び塀
基準(一)国土の歴史的景観に寄与しているもの
八木家住宅 建造物について
・ 八木家住宅は寝屋川市の住宅街に所在し、大阪で綿花・綿糸・絹織物業などを商売としていた八木市造氏が家族のために建てた住宅で、設計は建築家・藤井 厚二氏によるものです。
・ 主屋は、木造瓦葺き2階建ての建物で、和風の要素を幾何学的な構成や椅子式の生活様式に合わせて再構成した意匠が特徴的です。通気筒により空気の循環に配慮するなど、日本の気候風土と日本人の感性に適合する住まいへの様々 な工夫がみられます。また、空間のみならず、藤井が設計した家具や調度品も非常に良い状態で残っている点も貴重です。
・ 下男部屋は、主屋の東北部に建つ附属建物です。当初は、馬の世話等をする下男が寝泊まりする部屋として使用されていました。屋敷の外郭を形成してい ます。
・ 蔵は、当初、下男部屋と一体で建てられていましたが、昭和16年(1941年) に戦争に備えて防火構造に改修されました。出入口を観音開きの鉄扉とするなど、小規模な建物ながら堅牢な造りであり、戦時中の様相を伝えています。
・ 門及び塀は、敷地正面側の道路沿いに面し、主屋と意匠を揃え、通りの景観を整えています。⇒ 上記のように、八木家住宅は藤井氏の大型の住宅作品として、附属建物と共に往時の住宅地の景観を留めており、主屋は登録有形文化財登録基準(二)「造形の規範となっているもの」に該当し、その他は登録有形文化財登録基準(一) 「国土の歴史的景観に寄与しているもの」に該当すると評価されました。
この他の寝屋川市内の国指定・登録文化財としては、以下の通りで、八木家住宅は国登録文化財の3件めとなります。
・ 国指定文化財 2件
([史跡]石宝殿古墳、[史跡]高宮廃寺跡)
・ 国登録文化財 2件
(聖母女学院校舎)
(平池家住宅主屋・長屋門)
寝屋川市企画3課より情報提供いただきました。
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