【寝屋川市】寝屋川市の歴史を紐解くシリーズ第3弾!条里制の遺構から見えてくる奈良時代。小字(こあざ)はタイムカプセル!

地形から読み取る寝屋川市の歴史として古代河内湖について第1弾、第2弾でお送りしましたが、寝屋川市の歴史を紐解くシリーズ第3弾として、条里制の遺構から見えてくる寝屋川市の今昔をお送りします。

【寝屋川市】寝屋川市の歴史を紐解くシリーズ第1弾!地形から読み取れる縄文時代。寝屋川市の半分は海だった!

【寝屋川市】寝屋川市の歴史を紐解くシリーズ第2弾!古代河内海は河内湖となり現在は深野池に名残り。何故?深北緑地に転がる大きな石。

 

寝屋川市の小学校では3年、4年生で「わたしたちの寝屋川市」について学びます。
夏休みの自由研究に寝屋川市内の歴史について調べた経験のある方もいらっしゃるかと思いますが、大人の夏休みの自由研究とも言える奈良時代の条里制の遺構から歴史を紐解いていくという大変興味深い情報提供をいただきましたのでご紹介します。

寝屋川市には、条里制の名残りがよく残っていると言われるのですが、今のGoogle Mapで見ても(地図でも航空写真でも)家が密集していて、よくわかりません。
それでYahoo! Open Local Platformの1947年頃の航空写真を参考にしてみると、寝屋川市の大半が田んぼであり、その田んぼのあぜ道が奈良時代の条里制の名残りを示しているのがよくわかります。
 
条里制

資料提供 梶本一夫氏

 
この写真は、左上の星印が寝屋川市駅で、右側にある池が五藤池です。
今は一中などの建設で埋め立てられ南側の一部しか残っていません。
この写真で右側に白く四角で囲んであるのが、条里制での坪と言う単位になります。
田んぼを見ると、この同じ面積の四角形でタイル状に仕切られているのが、1200年後になっても、よく残っていると思います。
 
条里制

資料提供 梶本一夫氏

 
条里制の遺構を調べながら、色々な文献にインターネットであたると、坪番号の解明に古文書に加えて、地域の小字(こあざ)名を参考にしていると記載があることが多いです。
古来、村の名前ならびに村が管轄する大きな地域の名前を「大字(おおあざ)」と称していました。
この大字の下に、小地域を表す「小字(こあざ)」があり、小字の下に個々の家や畑を特定するための地番として「番地」が割り振られていました。
人家があまりない山などでは、小字がなく、大字と番地だけと言う土地もあります。
 
今は世帯や土地管理を簡素化するために、日本全国で、シンプルな住所表記変更が行われていて、市町村名+町名+丁目+番地で表記されるようになりました。
 
昔から連綿と続いてきた大字、小字は、役所の土地台帳や住民台帳に個別に過去に遡って残っているだけで、全体を閲覧する仕組みがなく、現地に行っても住居表示に出ている訳ではないので、どんどん忘れ去られていってます。
 
例外的に奈良県では、考古学での発掘のおりに役立つとして、民間で小字をデータベース化して公開しているサイトがあります。
 
さて、寝屋川市について記している歴史学の論文など拝読していると、参考文献に「寝屋川市小字地図 (寝屋川市史編纂課編 1992)」と言うのが時々出て来ます。
それで、寝屋川市役所の市政や教育委員会の出版物閲覧コーナーに行きましたがありません。
職員の方も見たことがないとのことでした。
次に、寝屋川市立中央図書館のサイトから問い合わせしてみると、図書館には無いものの「寝屋川市立池の里市民交流センター」に市の文化財として展示されていると、親切な回答をいただきました。
 
そこで、池の里市民交流センターに行ってみました。
最初、寝屋川市の遺跡から発掘された土器や、古代の船などがある部屋に行きましたが、「寝屋川市小字地図」は見つかりませんでした。

それで、職員さんに聞くと、発掘された樋(今で言う地下埋設の水道管)が展示されているコーナーに案内されました。
 
木管

寝屋川市池の里市民交流センター

讃良川遺跡から出土した江戸時代の水田の取水口の遺構
 
その壁に、2.5m×2.5mぐらいの大きな寝屋川市の地図があり、そこに小字で色分けし、小さな文字を貼り付けた力作がありました。
「寝屋川市小字地図」は書籍ではなく、大きな一枚ものの地図そのものだったのです。
 
寝屋川市古地図
 
讃良郡(さら、さらら、ささら、さんら、と読みが色々とあるようです)の条里制で、きれいに今も田んぼが残っていた一角、現在の高宮や小路と言う地名のところを、寝屋川市小字地図で見ると、「三ノ坪」や「廿一」とかの小字名があります。
小字名と条里制区画を小字地図を読み解いて照らし合わせると、きれいにはまります。
現在の地名の高宮、小路、堀溝には、数字入りの小字があり、それをあてはめると、八条、九条、十条の条里での坪番号と小字の数字がぴったりあてはまりました(図では、黄色が小字名、赤が条里制での周辺の坪番号)
大字小字での住所表示は、普段の生活では郵便物の配達でも不便極まりないのですが、過去からの歴史をたどる時には、タイムカプセルとしてとても役に立ちます。
 
寝屋川市立池の里市民交流センターは、旧市立池の里小学校の跡地を利用した複合施設で、寝屋川市における市民の文化・スポーツ活動等の振興を図るため、市民への社会教育活動の場として施設を提供しています。
「寝屋川市小字地図」や「讃良川遺跡から出土した江戸時代の水田の取水口の遺構」など、見てみたい方は、寝屋川市立池の里市民交流センターに行ってみてください。
 
池の里市民交流センター
 
梶本様、情報提供ありがとうございました。
 
寝屋川市立池の里市民交流センターはここ↓
neyamon

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